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オメガ博士による最新論文紹介

多価不飽和脂肪酸と精神疾患との因果関係

オメガ博士

以前から、魚やオメガ3脂肪酸は精神疾患のリスク低下と関連する可能性が報告されてきました。しかし、その多くは、食事調査によって魚やオメガ3脂肪酸の摂取量との関連を調べた観察研究でした。

これに対し、本研究では、そのような方法とは異なり、「多価不飽和脂肪酸の血中濃度に影響するSNP(人によって異なる遺伝子の『1文字の違い』で、病気のなりやすさや体質に影響することがあります)」と、「精神疾患の発症に関連するSNP」の情報を利用して、オメガ3脂肪酸と精神疾患との因果関係を検討しています。

研究チームは、公開されているGWAS(ゲノムワイド関連解析:たくさんの人の遺伝子を比較し、病気や体質に関係する遺伝子を見つける研究)のデータを用いて、二標本メンデルランダム化(MR)解析(下図〔ChatGPT作成〕参照)を実施し、多価不飽和脂肪酸(オメガ3、オメガ6、およびそれらの割合・比率)と12種類の精神疾患との因果関係を評価しました。

その結果、SNPによって予測されたオメガ3脂肪酸レベルの上昇は、強迫症、双極症、統合失調症、大うつ病性障害のリスク低下と因果的に関連していました。また、オメガ3脂肪酸の割合(omega-3%)は、情緒不安定性パーソナリティ障害に対して保護的な関連を示しました。一方、オメガ6脂肪酸レベルの上昇は注意欠如・多動症(ADHD)のリスク低下と関連し、オメガ6/オメガ3比の上昇は、うつ病およびその他の気分障害のリスク上昇と関連していました。

二標本メンデルランダム(MR)化解析 ~オメガ3脂肪酸とうつ病の例~〔ChatGPT作成〕
二標本メンデルランダム(MR)化解析~オメガ3脂肪酸とうつ病の例~

本研究の最大の強みは、遺伝子情報を利用したMR解析とメタ解析を組み合わせることで、食生活や生活習慣などの影響を受けにくい形で、オメガ3・オメガ6脂肪酸と精神疾患との因果関係を評価した点です。一方で、対象は主に欧州系集団であり、DHAやEPAなど個々のオメガ3脂肪酸の違いまでは検討されていません。また、この結果は、「オメガ3サプリメントを飲めば精神疾患を予防できる」ことを直接証明したものではなく、その有効性については今後の介入試験による検証が必要です。総じて、本研究は、オメガ3脂肪酸と精神疾患との因果関係を支持する重要なエビデンスであり、今後の臨床研究や食事介入研究の発展に寄与する成果と考えられます。

Causal Relationship of Polyunsaturated Fatty Acids With Mental Disorders: A Systematic Review and Meta-analysis.
(Yiying Yao, et al. Nutr Rev. 2026 May 8: Online ahead of print)

2026年7月14日
(浜崎 景:群馬大学)

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