日本脂質栄養学会

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ランズ博士からのご招待

脂質栄養学について(訳)

疾患の多くは、オメガ6系列の脂肪酸から体内で作られるオメガ6系列エイコサノイドによる過剰反応を伴っており、この作用は食事中のオメガ3系列脂肪酸によって競合的に抑えられる。

この考え方に基づくと、グリーンランド人、日本人、地中海地方の住民、およびアメリカ人の間では、心血管系の健康状態に10倍ほどの違いがあることを説明できる。また、人の健康にとって、脂質栄養がいかに大切であるかをこれは明確に示している。この考え方は、オメガ6系列エイコサノイドの過剰なシグナルを遮断するための体系的な予防栄養の方法を示すものである。これは、オメガ6系列エイコサノイドの作用を同様に阻害する医薬品を開発して販売するために、膨大なお金を投じていることと対照的である。

我々の健康や生命を維持する過程を分子レベルで認識し、我々が口にしている食べ物がどのようにこの過程でのバランスを保っているのかを知り得ることは、特別な特権と言えよう。日本脂質栄養学会は、脂質に関する新しい知識を進んで開発し、また、学生をはじめ広く社会の人々に対して、既にわかっている知識を進んで広めることによって社会に貢献する。人はすべて、脂質栄養が日常活動のためのエネルギー源であることに加えて、いかに身体の構造や機能に必須な要素として貢献しているかを深く理解する必要がある。それを理解することによって、日々の活動とエネルギー摂取のバランスやオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランスのとれた食事を選ぶことができるようになる。

各国には、それぞれ歴史に裏付けられた栄養習慣があり、その中の良い習慣は推奨し、害となる習慣は避けるように注意深く調査する必要がある。病気に付随する危険因子は、その病気の目印(マーカー)ではあっても、病気の原因ではないかもしれないことを知る必要がある。日本脂質栄養学会という科学フォーラムでは、いろいろなことが組み合わさった現象に関する過去の混乱について、その原因となっている機構を注意深く検証し、健康のための新たな栄養方針を開発することが可能となる。このフォーラムを通じて、全世界の人々も、どのようにすればより健康的になれるかについて、より良く理解することが可能となる。

アメリカ国立予防衛生研究所(National Institute of Health; NIH)
National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism; NIAAA
Senior Scientific Advisor
Dr. William.E.M. Lands

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