日本脂質栄養学会

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オメガ博士による最新論文紹介

妊娠期の魚食・オメガ3脂肪酸摂取と3歳未満でのアレルギーとの関連

オメガ博士

オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があり、アレルギー発症予防効果が期待されていますが、過去の観察研究や臨床試験では、一貫した結果が得られていないのが現状です。以前、妊婦さんにおける魚食・オメガ3脂肪酸摂取とアレルギーとの関連を紹介しましたが、仮説に反して関連が出ないどころか、逆にアレルギーのリスクが上がるという結果でした。そこで、今回は同じ対象者(「子どもの健康と環境に関する全国調査(通称:エコチル調査)」)で、3歳未満の出生児のアレルギーとの関連について調べてみました。

72,105人の出生児を対象に、お母さんの妊娠中のオメガ3脂肪酸または魚の摂取量に応じて5群に分け、出生児が3歳までにアレルギーと診断される、あるいは、アレルギー症状を有するリスクを評価しました。その結果、妊娠中のオメガ3脂肪酸または魚の摂取量と、出生児の医師診断によるアレルギー性鼻結膜炎(図)、または親が報告した目の症状を伴う鼻炎は、出生から3歳までの発生のリスクが減少しておりました。また、年齢区分別にみると1~2歳時の喘鳴、2~3歳時および0~3歳時の湿疹にもリスクの減少がみられました。ただし、食物アレルギーについては、いずれの年齢においても、有意な関連はみられませんでした。

妊娠期の魚食と3歳時までのアレルギー性鼻結膜炎(医師診断)の罹患との関連

Association of allergies in children younger than 3 years with levels of maternal intake of n-3 polyunsaturated fatty acids or fish during pregnancy: A nationwide birth cohort study, the Japan Environment and Children's Study.
(Tsuji S, Adachi Y, Tsuchida A, Hamazaki K, et al., Allergol Int. 73, 282-289, 2024)

オメガ博士

妊婦さんのオメガ3脂肪酸または魚の摂取は、小児のアレルギー疾患や症状のリスク低下と関連しており、予防因子であるか、少なくとも(以前、妊婦さんでみられたような)発症のリスクになっていないことがわかりました。このような大規模調査は日本で初めてであり、また、アレルギーマーチといって幼少期から成人期にかけてさまざまなアレルギー疾患が次々に現れてきますので、今後さらに年齢を追って調査していく必要があると思います。

2024年6月13日
(浜崎 景:群馬大学)

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