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オメガ博士による最新論文紹介

オメガ3脂肪酸で骨力を高める!!!

オメガ博士

「骨粗鬆症」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?「骨粗鬆症」とは、骨がもろく骨折しやすくなる病気のことです。骨量は20歳を最大値としてその後、減少していきます。特に女性は閉経後に骨量が顕著に減少することが分かっており、骨量の減少は骨粗鬆症や骨折は密接にかかわっています。令和元年国民生活基礎調査によると、介護が必要となった原因のトップは認知症で、2番目は脳血管疾患と続き、3番目に骨折・転倒が入っています。また人や道具の助けが必要な介護支援が必要となった原因では、トップが関節疾患、2番目が高齢による衰弱、そして3番目にまたもや骨折・転倒が入っているのです。このことから、高齢者は介護や介護支援に頼らないためにも、骨折・転倒をいかに減らすか、骨をいかに強くするかが重要となっているのです。

昔から魚を食べると骨が強くなると言われています。その原因は魚に多く含まれる骨のカルシウムとビタミンDによるとされてきました。ここにきて、それ以外にもDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が骨を強くすることが分かってきました。

そこで、今回は骨粗鬆症の予防におけるEPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸の効果を紹介しましょう。

スペイン人の女性1,865名を対象に、食事調査から多価不飽和脂肪酸であるEPA・DHA摂取量を調査し、DXA法*1で腰部および腰椎の骨密度(BMD*2)の関連性を解析し、WHOの骨粗鬆症診断基準でグループ分けを行いました。

図のデータは、WHOが定義している骨粗鬆症診断基準に基づいて対象者を分け、群ごとのEPA・DHAの摂取量を比較した結果です。全対象者のうち、194名(10.4%)が骨粗鬆症(osteoporosis)に該当し、707名(37.9%)が骨減少症(osteopenia)に、残りの964名(51.7%)はどちらにも属さない正常群に該当しました。正常群と比較すると、骨粗鬆症を発症している者のEPA・DHAの摂取量は有意に低いことがわかります(これは骨減少症と比較しても同様の結果です)。骨減少症の患者は正常群と比較し、差はありませんでした。

オメガ3脂肪酸で骨力を高める!!!

Long-chain omega-3 polyunsaturated fatty acid dietary intake is positively associated with bone mineral density in normal and osteopenic Spanish women.
(Lavado-García J, et al. PLoS One, 13:(1): 1-14, 2018.)

オメガ博士

さらに同グループの最近の研究結果1)として、閉経後のスペイン人の女性を対象に血漿中のEPA・DHAの濃度とBMD(測定法:QUS*3、DXA、pQCT*4)との関連性を評価したところ、BMDとEPA・DHAの濃度の間には、有意な正の相関が認められことから、EPA・DHAは骨密度の増加に効果的であることが分かりました(一部抜粋)。

骨密度は20歳に最大密度を迎えるといわれています。その後、加齢とともに減少していきます。若いうちからのEPA・DHAの摂取は将来への骨粗鬆症の予防はもちろん、介護予防にも効果があるといえます。
早めの対策で将来へ骨骨貯筋をしましょう!

*1 DXA 二重エネルギーX線吸収法(Dual energy X-ray Absorptiometry)
*2 BMD 骨密度(Bone Mineral Density)
*3 QUS 定量的骨超音波
*4 pQCT 末梢骨定量的コンピューター断層撮影法

参考文献
1) Roncero-Martín R, et al. Nutrients, 13(5): 1-20. 2021.

2021年9月21日
(保科由智恵、西川正純:宮城大学)

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