オメガ3-食と健康に関する委員会

頭痛とオメガ3の関係を発見!

オメガ博士

今回は、アメリカ国立衛生研究所を中心とした研究チームが、偏頭痛の予防における健康的な食事の役割と関連性を調査した研究をご紹介します。

偏頭痛・慢性頭痛は世界的にも大きな課題になっています。医療の発展によって、治療方法などは改善されてきていますが、生活への支障・医療費問題・薬物による副作用などは未だ解決できていないのが現状です。食事を変えることで悩ましい頭痛が少しでも解消できるといいですね。

この調査研究はアメリカにおいて、国立の研究機関チームが182人の参加者を対象に、3つのグループに分けて実施しました。3つのグループは下記の通りです。

① 通常の食事のグループ

② 「オメガ3」多めの食事のグループ

③ 「オメガ3」多めで、かつオメガ6少なめの食事のグループ

集められたのは、月に5−20日の偏頭痛に悩んでいる方や、偏頭痛を起こしやすい方が対象になっています。

結論から言うと、研究を開始して16週間後には、②③の「オメガ3」を多く含む食事をしたグループは、毎月の頭痛の回数が2倍減少し、痛みの時間も短縮され、加えて痛みも弱かったということでした。検査結果では、②③の「オメガ3」を多く含む食事をしたグループの方が、①の通常の食事のグループと比べて、痛みを軽減する指標の数値が高かったことも発見したのです。

この結果から研究チームは、食事(食べる油脂の質)を変えることで痛みを和らげることができるということと、食事と痛みの関係の解明につながるのではないか、という見解を記しています。

もちろん、これだけが全てということにはなりませんが、慢性的な頭痛を持っている方々にとってはオメガ3高めの食事と薬物の治療を併用できるツールの1つになる可能性を見出しました。今回の調査結果は、オメガ3及びオメガ6と「痛み」との関係やメカニズムを示すもので、慢性的な痛みを管理するための新しいアプローチへの扉を開くことを示しています。

Dietary alteration of n-3 and n-6 fatty acids for headache reduction in adults with migraine: randomized controlled trial
(Ramsden CE, Zamora D, Faurot KR, et al., BMJ 2021 ;374 :n1448)

オメガ博士

いかがでしたか?
オメガ3を積極的に食事に取り入れることで、頭痛のあった日が半減したという発見は驚きです。ただし、現代の加工食品には至るところにオメガ6(リノール酸)があるので、食事の改善に限界を感じていることも記されていました。
頭痛や偏頭痛が起こりやすい方は、参考にしてみてください。

2021年8月26日
(長坂泉紀:太田油脂株式会社)