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利益相反に関する細則

日本脂質栄養学会 利益相反に関する細則

2018年1月1日 制定
2018年8月21日 総会承認
2019年9月27日 一部改定総会承認

1.序論

すでに海外の国際学会・研究機関などでは、10数年前より利益相反に関する指針が策定されており、これにならって日本でも2006年に文部科学省より「臨床研究の利益相反ポリシー策定のためのガイドライン」が公表された。さらに2011年には日本医学会でも「医学研究にかかるCOIマネージメントガイドライン」が公表され、2013年時点ではおよそ8割以上の学会がCOIに関する指針を策定している。このような中、特に産学連携活動の多い日本脂質栄養学会(以下、本学会)においても、研究の質および信頼性を確保するために、COIが適切に管理されなければならない。

2.目的

本学会では、研究成果の発表(学術講演や学術誌)やガイドライン公表において、中立性や透明性確保の視点から、「日本脂質栄養学会 利益相反に関する細則」を策定し、COI状態を一定の様式に従って開示する。

3.対象者

  • 本学会誌の著者
  • 本学会での筆頭演者(シンポジウム・一般演題・ポスター発表等)および大会長
  • 本学会の役員(理事長、副理事長、事務局長、監事、理事)、委員会委員長、ワーキンググループ長、編集委員長など

4.対象となる事業活動

学術集会(年次総会含む)
学会機関誌、学術図書などの発行
研究および調査の実施
国際的な研究協力の推進
小委員会が主催する学術集会などでの発表
小委員会の学術雑誌・機関誌などでの発表
ガイドラインなどの策定
臨時に設置される調査委員会、諮問委員会などでの作業
企業や営利団体主催の講演会、ランチョンセミナー、イブニングセミナーなどでの発表

5.申告すべき事項

企業・法人組織や営利を目的とした団体(以下、企業・組織や団体という)の役員、顧問職については、1つの企業・組織や団体からの報酬額が年間100万円以上とする。
産学連携活動の相手先の援助の種類(例、公開・未公開を問わず、株式、出資金、ストックオプション、受益権など)とその数量の記載。株式の保有については、1つの企業についての1年間の株式による利益(配当、売却益の総和)が100万円以上の場合、あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合に申告する。
企業・組織や団体からの特許権使用料については、1つの権利使用料が年間100万円以上とする。
企業・組織や団体から会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)については、1つの企業・団体からの年間の講演料が合計50万円以上とする。
企業・組織や団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料については、1つの企業・組織や団体からの年間の原稿料が合計50万円以上とする。
企業・組織や団体が提供する研究費については、1つの企業・団体から研究(受託研究費、共同研究費など)に対して支払われた総額が年間100万円以上とする。
企業・組織や団体が提供する奨学(奨励)寄附金については、1つの企業・組織や団体から、申告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)あるいは研究室の代表者に支払われた総額が年間100万円以上の場合とする。
企業・組織や団体が提供する寄附講座に申告者らが所属している場合とする。
その他、研究とは直接無関係な旅行、贈答品などの提供については、1つの企業・組織や団体から受けた総額が年間5万円以上とする。

6.自己申告の方法

学会誌の著者について
雑誌発表著者には論文投稿時におけるCOI自己申告を義務付け、発表論文に関連する企業・団体などとの過去3年間のCOI状態を発表論文の末尾(引用文献の前)に「利益相反」と見出しを付けて開示する。参考例として、COI状態がある場合には、「本研究において、著者 尾目我参氏は、○○株式会社より原稿料および共同研究費を受理している。また、著者 於眼芽録氏は○○株式会社の寄付講座に所属している」と記載する。また、著者全員に利益相反が無い場合は、「開示すべき利益相反はない」と記載する。なお、研究費などにおいて、研究や論文作成までに長期間かかった場合には(3年を超える期間については)個人の判断で開示する。
At the time of submission, authors must disclose any potential conflict of interest (COI) with any company or organization within the past 3 years. This statement should appear at the end of the manuscript (before “References”) under the heading "Conflict of interest". For example, any authors who have a potential COI may state: "In this research, Dr. Sun Omega received a manuscript fee and joint research funds from ○○ Co., Ltd. Dr. Roku Omega belongs to the laboratory funded by ○○ Corporation". Also, state “The remaining author(s) declare no conflict of interest” as applicable. If none of the authors have a COI to declare, state: “All the authors declare no conflict of interest.” If the period of research and/or time to prepare the manuscript is more than 3 years after the COI (e.g., receiving research funds), the COI should be disclosed at the individual author's discretion.
学会での演者について
学会発表者の筆頭演者は、発表時に関連する企業・団体などとのCOI状態を所定の様式(下記スライドを参考)に従って自己申告により開示することを義務付ける。なお、発表時から遡って過去2年間におけるCOI状態を開示するものとする。
COI COI COI
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役員・委員会委員長・ワーキンググループ長・大会長など(以下、役員等)について
役員等委嘱に際しては、具体的な報告プロセスは、下記のとおりである。1)役員等候補者が、定められた書式・手順に則り、理事長にCOI自己申告書(様式1)を提出し、2)利益相反委員会で役員就任の適格性について審議が行われ、3)判断結果(COIに関する意見書)が理事長に報告され、4)理事長から、役員等候補者に対して承認・条件付承認・不承認などの決定が伝達される。なお、就任時の過去1年間におけるCOI 状態の有無を、新就任時と、就任後は1 年ごとに開示するものとする。

7.COI自己申告書の取り扱いについて

役員より提出されたCOI自己申告書(様式1)は、機密保持の確保と個人情報保護の観点から事務局で厳重に管理する。役員の任期を終了した者、委員委嘱の撤回が確定した者に関するCOI自己申告書は、最終の任期満了、あるいは委員の委嘱撤回の日から3年間、理事長の監督下に当該事務局で厳重に保管する。一定期間を経過した書類については、理事長の監督下において速やかに削除・廃棄する。ただし、削除・廃棄することが適当でないと理事会が認めた場合には、必要な期間を定めて当該申告者のCOI情報の削除・廃棄を保留することもできる。

8.利益相反委員会設置および、細則の遵守、開示など

利益相反委員会を設置し、以下の業務を行う。
(1)COI状態にある会員個人からのあらゆる質問、要望への対応(説明、助言、指導を含む)
(2)COIの管理ならびに啓発活動に関すること
(3)COIに関する調査、審議、審査およびマネージメント、改善措置の提案、勧告に関すること
本会員において、深刻なCOI状態で、公平性、信頼性が担保できないと予測される場合には、利益相反委員会で審議し、必要に応じて理事会で審議し措置を検討する。
役員や会員のCOI状態に関する情報は一般(例、マスコミ関係者)からの開示請求があれば、個人情報およびプライバシーの保護に関して十分に配慮した上で、必要な範囲の情報を提供する。

9.細則の改正

本細則は、社会的要因や産学連携に関する法令の改正、整備ならびに研究をめぐる諸条件に適合させるためには、利益相反委員会で定期的に見直しを行い、理事会で改正することができる。

10.施行日

本細則は1年を試行期間として2018年1月1日より施行する。